KanKohenにはキーボーディストはいないんだけど、結構キーボード曲をやってる。そう、打ち込みです。
ステレオの片方のチャンネルにだけクリックが入っている音源をNKJさんが作って、ZoomのPhone outとLine outが別についてるフィールドレコーダーで再生している。
Line outからクリックの入ってない方のチャンネルだけ変換ケーブルでキャノンにつないでアンバランスでPAに送っている。ドラムのアルSさん用のモニターは、Phone outの出力を直接ヘッドフォンでが聞いている。
シンプルでいいシステムなんだけど、改善したい点がいくつかある。
1.
PAにはバランスで送りたい
2.
ヘッドフォンアンプを専用のものにしたい。
3.
モニター用のキーボードとクリックの音質と定位を、PAに送る音と独立してコントロールしたい。
4.
他の楽器の音もモニターにミックスしたい。
バランス伝送以外はアルSさんの問題なのだが、特にアルSさんから要望があったわけではない。きっとこうならいいだろうなと勝手に考えてみた。つまり、大きなお世話だ。
で、こういうのを考えてみた。
基本的にはインプット、アウトプットの構成を特化させた3チャンネルミキサーだ。ステレオで入ってきた音のクリックのない方だけDIを通してPAへの出力を出して、モニター用には左右のチャンネルをそれぞれ独立したチャンネルにいれてトーンと定位をコントロールできるようにしてある。マイク入力を一チャンネル作って他の音もミックスできるようにしている。Line outはおまけで、ヘッドフォン出力がメインになる。
で、こんなのを作ってみた。
各チャンネル3バンドイコライザー付きでMidは周波数も可変だ。クリックにも3バンドイコライザーはやり過ぎかもしれないがクリックを聞き取りやすいようにトーンコントロールするのも大事だろう。ヘッドフォンアウトのボリュームはスプリットシャフトだったのでギター用のつまみをつけてみた。もちろんVolumeではなくToneのヤツ。
中身は、基板が8枚もある。僕が作ったなかでは結構な大作だ。大きなお世話で作ったモノとしては仰々しいモノになってしまった。
それぞれ、試行錯誤しながら継ぎ足して組み込んでいったのでちょっといびつなところがある。ほんとは右側に3チャンネルが並ぶ予定だったが、底板側の基板と干渉してしまいMicチャンネルを端によせざるを得なくなった。最初は電源も内蔵する予定で大きめのケースを選んだつもりだったが、外電源にしてもギッチリになってしまった。
ヘッドフォンアンプはそれなりのものを組み込みたかった。
この本を見てFET差動アンプを作りたかったが電源を±15v化するのがよくわからなかったので、同じ本に載ってたopアンプを使ったバージョンを少々モディファイして使った。
実はこれまで、ヘッドフォンアンプにはいい思い出がなかった。
フランジャーで登場したこの本に載ってるヘッドフォンアンプや、MXRのクローンなどを作った事はあったが、ノイズがひどくて、かなりげんなりするできだった。
なので、この企画を実現させる上でまともなヘッドフォンアンプを作れるかが大きな要素だった。
“理解しながら作るヘッドホンアンプ”は、付属の基板でFET差動アンプも組んでみたが、結構いいと思う。オーディオとして細かい評価はわからないが、ほとんどノイズはないし、歪んだ感じもしない。内蔵のヘッドフォンアンプを組む前は何度かこれを外付けで使ってみた。
それなりのアンプを積みたかったのだが、大音響のなかでの使用なのでオーディオとしての味わいは必要ない。十分な音量で余裕をもってドライブできればよい。電源部をちょっと変更してできるだけ小さい基板に組んでみたが、それなりのモノにはできたと思う。
Mic入力はいいアイデアだと思うんだけど、セットアップはちょっとめんどくさい。どこにマイクを立てるか考えどころだ。ライブならドラム用のモニタースピーカーの前か? ギターが欲しいならギターアンプの前に立ててもいいだろう。ボーカルがいるのならNKJさんの足下のブツからラインでもらう手もある。おっと、3チャンネル目はライン入力に対応させてなかった。要改善か?マイクを内蔵させてしまうのもいいかもしれないが、その辺の自由度はなくなる。
ホントは同期演奏としては他は聞かずに音源だけでやった方がいいのかな。僕は走り癖があるのでギターは聞かない方がいいのかも?歌を入れるなら自分の声が返せるといいんじゃないかな。けど、アルSさんが歌ってるの見たことないな。
これを既製品でやろうとすると、小型ミキサーではトーンコントロールを通る前の信号をバランスで出すのは無理だろうから、ミキサーに入る前にパラってダイレクトボックスに突っ込むことになる。ステレオミニプラグで出てるのを左右独立したチャンネルに突っ込むのもそのままって訳にはいかない。変換ケーブルだけでやろうとすると、そこそこ複雑なモノになってしまう。ミキサーなのでラインで出力するのが前提でヘッドフォンアウトもおまけ程度のものだろう。周囲の大音響に負けない音量で再生するには物足りないかもしれない。ヘッドフォンアンプも専用のものを用意するとなると、かなり大がかりなモノになってしまう。
こいつは、それらの懸念を払拭して、一系統のステレオ出力から一手に実現できる。汎用性を気にせず、自分の用途に特化できるのが自作のいいところだ。
一応、アルSさんは気に入って使ってくれているようだ。
大きなお世話は、小さな親切になれただろうか?
ただ、制作意欲に突き動かされて作っただけなので、やはり大きなお世話だな |