ヘッドフォンモニター2号機




 KanKohenにはキーボーディストはいないんだけど、結構キーボード曲をやってる。そう、打ち込みです。

 ステレオの片方のチャンネルにだけクリックが入っている音源をNKJさんが作って、ZoomPhone outLine outが別についてるフィールドレコーダーで再生している。

 ・・・・・・・

 

 という、書きだしで下のヤツのレポを書いたのはホームページによると2011年の12月らしい。キーボードとクリックがステレオの左右に分かれて入っている音源を、キーボードのみモノラル音源としてバランス信号でPAに送るDI機能と、それぞれをミックスしてヘッドフォンでモニターする機能を合体させたものだ。

 

 

 大きなお世話で作ったものだが、ありがたい事にササケンさんに思いのほか重宝していただき、打ち込みの曲をするときにはいつも出動している。PAからも特にクレームは来ないのでそれなりに使えているのだろうと思われる。

 

 しかし、当初から不満がなかったわけではない。これまた、ササケンさんの要望という訳ではなく、こちら側の不満だ。勝手に作っておいて、勝手に不満を抱いていた訳だ。

 それは、でかいということ。

 

 本体もでかいし、外部電源なので電源部分もかさ張る。それをつなぐケーブルもいる。こいつが出動するときにはカバンが一個増える事になる。

 1号機制作から程よい月日も流れた事だし、一念発起して2号機を作る事にした。

 

 まず、機能面からシェイプアップを図ろう。

 1号機のミキサー部分は音源のL,Rチャンネルとそれ以外の音を取り入れるマイク入力を加えた3チャンネル仕様だが、ついに、マイクがつながれる事はなかった。これは、ある程度予測していた事ではあった。そもそも、ドラムが打ち込み以外の音も聞いてそれにも合わせるというのは無理な話で、むしろ、他の音は排除して打ち込みのリズムだけを聞いて、それを追従することに専念するべきものだろう。マイクチャンネルは削除して2チャンネル仕様としよう。

 1号機のレポでも触れたことだが、各チャンネルに3バンドEqはオーバースペックだろう。しかも、Midは周波数可変。クリックにもだよ。それでも、キーボードの音とクリックの周波数帯を調節できたら聞き取りやすさが違うはずだと自分に言い聞かせて実装した。実際のところどう? ってササケンさんに聞いてみると、ほとんど触ってないらしい。音量のバランス程度で、パンポットも左右に振り切って定位がどうのなんて事はしてないらしい。じゃ、ミキサー部分はまるっきり削除で左右の音量調整ができるヘッドフォンアンプにしよう・・・・・・。  実際のところそれで十分なのだろうけど・・・、あまりにも寂しいので、EqMidを削ってミキサー機能は残させてもらう事にしよう・・・。

 

 

 

ということで、2号機登場。

いきなりポンと現れたが、構想からは1年ほど経過している。半分くらいお蔵入りするかもと思ってた。1号機もそんな感じだった気がする。実際、電源部分だけ小さく作りなおそうとして構想だけで立ち消えた企画もあった。

 

 

 一応、ダウンサイジングは成功している。真ん中が1号機の電源なのでそれより小さい。

 電源はDCアダプターにしたのでこれなら、ギターのソフトケースのポケットにも入らなくもない?(もうちょっと薄くなればいいのに・・・)

 

基板は上下二階建て、上の基板にミキサー部分を、下の基板に電源とDIとヘッドフォンアンプを配置した。

 懸案だった、電源の問題を解決してくれたのがMINMAXと書かれた黒い箱。

秋月電子で見つけたDC-DCコンバーターだ。9~36vDC入力で±15vが作れる。電源電圧にかなり幅があり結構いろんなアダプターに対応できそうだ。であれば、一般に使われるセンターマイナスの9v電源とセンタープラスの秋月電子のスイッチングアダプターの両方使いたくなる。ダイオードブリッジをかまして両極対応にしようと試してみたが、ダイオードの電圧降下分で9v入力だとコンバーターが動作しなくなった。12vくらい入れれば大丈夫だと思うけど9vが使えないならそこまで汎用性にこだわる必要もないだろうとセンタープラスに固定。電圧は9~36vどれでも使える。

 9v出力を別に作って音源の電源も賄おうという野望も一時抱いたが、DCコンバーターの出力側のグラウンドと入力側のマイナスを短絡させても大丈夫かよくわからなかったので却下した。

 ミキサー部分担当の上側の基板。ヘッドアンプのゲインを1号機は操作面に出していたが、ダウンサイジングのため基板上のトリムポットにした。1号機とほぼ同じ回路だけど、Mid Eqを削った分小さくなってる。1号機は失敗した時の事を恐れて各部を個別の基板で作ったので8枚にもなってしまった。複数機能をもたせながら2枚に集約したが、それぞれ動作してくれてよかった。

 と、安堵もつかの間、このレポを書いている最中に、いきなりヘッドフォンの左側から音が出なくなった。見ると上の写真の左下にある青いポットのハンダ付けが一本外れてた。基板用の端子に横着して線を直にハンダ付けした上にケースを開ける度にそこに力がかかる構造になってるので当然の結末だった。

 急遽、ユニバーサル基板を切り出して簡易基板配線にした。どうでもいい事だが、一応思い出として記しておこう。

 

 思い出といえば、ちょっとノスタルジーにかられる出来事が、1号機を作ってからこの数年の間にあった。TO-92のトランジスタが絶滅危惧種に認定されたのだ。2SC1815も、2SK30も製造中止。

 上の写真は1号機のDI部分の基板だが、右側に二つ並んでる3本足の黒いのがトランジスタでこの形がTO-92型というパッケージの規格。昔からトランジスタといえばこの形だろう。これがなくなったら中学生が技術の時間にトランジスタラジオを作れないじゃない。(え、ひょっとしてそんなのすでにもうないの・・・?)

 バイポーラはまだあるみたいだけどFETはすでに壊滅状態だ。ちょっと前までは秋月電子でも10個いくらみたいに叩き売り状態だったのに量販店の通販では手に入らなくなってる。買い占めとけばよかった・・・。まだ、Garrettaudioとかでは普通に入手できるけどやっぱり値上がりしてる。(といっても数十円のものなのだが・・・)

 これも、時代の流れか・・・、思えば、東芝があんな事になってるんだから当然の帰結かもしれない。アベノミクスはやっぱり失敗してるんだろうな。日本のもの作りはどうなってしまうんだろう。

 

 2SC1815は少々買い占めてたし、まだ秋月電子でも手に入る。だが、FETは少しストックはしてるけど今後入手が難しくなると思うと簡単に使う気になれない。

 そこで、今回は2SK30SMD(基板の銅箔面に直接ハンダ付けする省スペース規格)版とうたわれる2SK208を使ってみることにした。

 SMDは使ったことなかったけど普通に使えた。思ってたほどハンダ付けも難しくなかった。けど、なんだかなあ・・・。味気ないというかなあ・・・。E-メールで送る年賀状みたいな感じかなあ・・・。TO-92に思いを馳せながら酒でも飲むかなあ・・・。(そんな事しなくても飲むんだけど・・・)

 

 そして、いよいよ実践投入。まずは、練習で。

 ヘッドフォン出力は問題なく出るが、DIを通してPAから出した音が歪んでる。音源再生用のフィールドレコーダーの出力を目一杯落として、ヘッドフォンアンプの前のミキサーのゲインを上げてなんとか練習は終了。±15Vで作ったDIがどうしてこんなに簡単にクリップするんだ??どっか根本的に間違ってるな・・・。と、すっかりやる気が失せてしまったところでNKJさんが気付いてくれた。DIからのバランス出力をマイク入力に刺してたからPA側で歪んでるのかも? 次回練習でPAのゲインを落とすと問題なく音が出た。本番も問題なく終了。DCアダプターを会場に忘れてきてしまったが回収成功。制作記事としてはどうでもいいエピソードだけど、思い出として記しておこう。

 サイズは小さくなって、だいぶ取り回しは楽にはなったけど、思った通り本体の厚みがあるのでギターのソフトケースのポケットには収まらずカバンは減らなかった。またしても効果としては中途半端な結果になってしまったようだ。






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