2018年メインボードアップデート

2012年秋モデルから6年ぶりにメインボードをメジャーアップデートした。
2018年夏モデルだ。
PICを使ったMIDI対応のプログラマブルスイッチャーが一応完成して導入したわけだ。
”我が輩に…”から始まったPICの流れだ。”我が輩に…”のレポが去年の5月になっているので1年以上PICで遊んでいることになるようだ。老後の思い出として今回もレポを残す事にしよう。

ループが4つ、チューナーアウト、MIDI IN×1、MIDI OUT×2、外部control 2系統、プログラムスイッチ8つ、外付けスイッチ2つ、電源サプライ 9V×4、18V×1


ワウはスイッチャーの前に直列につないで、ループにはフェイザー、コーラス、フランジャーを繋いで一つは予備だ。


前作のMIDIスイッチャーのレポで触れたように、EVH 5150V 50WはMIDIでチャンネル切り替えとセンド/リターンのON/OFFを操作できる。2012年秋モデルでは、アンプ付属のスイッチをそのままボードに組み込んだ訳だが、スイッチャーからMIDI経由で一元的に操作できるようになった。

前作のMIDIスイッチャーの教訓でMIDI OUTは2系統用意した。M5を使う事を考えると、M5にはTHRU端子がないので1系統独立して用意できれば便利だ。だけど、M5を予備のループに繋ぐとなると、ボードには載せる余裕がないのでセッティングはかなり面倒になりそうだ。・・・しないかもしれないな。


2012年秋モデルはグラウンドループができないように工夫したのが、一つのポイントだった。ループ内のエフェクトに繋がるグラウンドはスイッチャーからのセンドのケーブルだけにして、リターンと電源のマイナス側は浮かすことでループを作らないようにした。電源のマイナス側はパワーサプライとスイッチャーを洗濯機のアース接続用に付いてきた極太線で繋いでおいてスイッチャーを経由して繋がる形になる。2012年秋モデルでは、全部グラウンドを繋いでいてもそんなに激しいノイズはのらなかったので、効果があるのかないのかあまり実感できなかったのだが、今回はさすがにそういう訳にはいかなかった。一つのパワーサプライからエフェクトとスイッチャーを一度にまかなおうとすると激しくノイズが乗っかる。マイコンには発振回路が必須なので当然だ。特にI2Cで繋いでいるディスプレイがノイズ源になっているようだ。PICのクロックは今回20MHzにしたので可聴帯域のノイズが案外少ないようだが、I2Cの伝送速度はもっと低いので可聴帯域への影響が大きいのだろう。パワーサプライを別々にすればそれほど激しいノイズはのらないようだが、それは面倒くさいので何とかしたい。グラウンドの構成は2012年秋モデルのそれを踏襲することにした。
12年秋モデルのスイッチャーはパッシブのスイッチのみなので、ノイズ源になりそうなパワーサプライを内蔵するのをためらったのだが、今回はそんなものが気にならないくらいのノイズ源がすでにあるのでパワーサプライを内蔵することにした。パワーサプライは24Vのスイッチングアダプターから、三端子レギュレーターで18Vと9Vを取り出すだけのものだ。グラウンドをスイッチャー経由で接続する想定なので、その面からもパワーサプライを内蔵することは理にかなっている。とはいえ、エフェクトに供給している9Vから直接PICの基板に送るとやはりノイズが乗るようだ。そもそも、PICは5V動作なので基板上のレギュレーターで5Vに落としている。一応、レギュレーターの規格上入力電圧は35VくらいまでOKらしいので、もとの24Vから直接繋ぐ事にした。基板に行く電源の配線もシールド線を使うことにした。これで、ほぼほぼノイズはなくなったのだが、基板からOUTPUTジャックへ行く信号線もシールド線を使うとこにした。シールドは高域が削られるのでできるだけ内部配線には使いたくなかったのだが、デジタルの配線が行き来しているなかを通すのはやはり生配線では無理があるようだ。せめてなるべく太いのを使ってやろうと外径8mmもあるMOGMIの3368にしたが、やはり柔軟性に難がある。接続部分にかなりテンションがかかっている。まあ、壊れるまではこれで行こう。

しかし、よくよく考えると、”我が輩・・・”のスイッチャーはグラウンドループには結構無頓着に作ってあるがそれほど気になるノイズは乗らない。”我が輩・・”のPICのクロックは10MHzだが、これくらいの帯域なら問題ないのだろう。結局アナログ系とI2Cバスの共存が主犯なのかもしれない。

アルミの曲げ板金作業もだいぶ慣れてきた。山側にカッターで切り目をいれていたのだが本当は谷側にタガネで溝を入れるらしい。だけど、それだけではやっぱりシャープに曲がらないので山側の切り目も入れたほうがいいようだ。谷側の溝が浅いのかな?
2012年秋モデルと”我が輩…”の筐体は、底なしの箱形を作って底側を一枚の板でふさぐ形になっている。蓋に配線が行かないので開けても動く配線がないのがメリットだ。

今回は、天井部分と手前側の側面が開いた箱形を作ってL字状の蓋が被さる形にした。スイッチと表示部の配線が結構な本数で蓋側へ行くので配線の引き回しが煩わしいのだが、メリットとしては、ボード上で他の機材と結線したまま、蓋を開けられる。

蓋の固定ネジはM4の六角ネジにした。プラスネジよりちょっとカッコいいし、フロイトローズのレンチで開けられるのが便利だ。

ボードの外に繋がるコネクタは基本的に左側面に集中させた。

9V電源は右側面から4つ


フランジャー用の18V電源は上部側面から1つ、二つ目のMIDI OUTもこの面から出した。二つ目のMIDI OUTは左側面にスペースを取り切れなかったのと、用途としては四つ目のループにM5を繋いだ場合を想定してのことなのでここでいいだろう。
電源は、前述のようにグラウンドループ対策でマイナス側を配線していないので予備があっても意味がない。きっちり必要数のみ用意した。
出入り口の位置に自由度があるのは、自作の醍醐味だ。

バンク切り替えは、Tuner ONの状態で8つある各SWを踏む事で切り替えるようにした。音が出せる状態からバンク切り替えを行う想定はなし。Tuner OFFでTuner SWを長押しするとページ切り替えができるようにして、計16バンクだ。今時のスペックとしてはショボいけど、僕の用途では十分だ。メモリーなどの規格上はもっと増やせるけど、操作がややこしくなるだけなので今後必要性を感じたら考えよう。

いつも使っている練習スタジオにはPeaveyの初代5150がある。想定としては、これを使う場合と5150V 50Wを使う場合でページ分けしている。初代5150のフットスイッチはステレオPhoneジャックなので、外部control出力を繋いでチャンネル切り替えとセンドリターンのON/OFFを操作する想定だ。
5150Uも7ピンDINコネクタでチャンネル切り替え、センドリターンON/OFF、クリーンチャンネルのブーストON/OFFをそれぞれ対応する端子とグラウンドを繋ぐだけで行なっているので、専用の出力を用意しようと思えばできる。Uが出動する機会が生じれば考えることにしよう。
5150Vの100Wも練習スタジオにある。しかし、このフットスイッチは詳細不明でUのような単純なものではない。MIDIも付いてないしこれだけは専用のフットスイッチを使うしかない。V50Wの専用スイッチと外寸は同じなので12年秋モデルでは、何食わぬ顔して載せ替えて使えたのだが、そういう訳にはいかなくなってしまった。

各プログラムスイッチには、
・ 任意のループか外部controlのON/OFF、又はプリセットの呼び出し
・ MIDIメッセージ × 2
の機能を割り当てることができる。もちろんMIDIメッセージはコントロールチェンジにも対応。
V50Wを使うモードでは、上段右の3つのスイッチがチャンネル切り替えに割り当てられる。下段のスイッチからでも、プログラムチェンジをアンプに送ればチャンネル切り替えを行う事もできるが、上段のLED表示には反映されない。
各バンクにも切り替えた時に一つMIDIメッセージを送ることができるようにしてある。Cathedral, Black and Blue, Women in loveなどディレイを使う曲でそれぞれにバンクを設定することを想定している。バンクを呼び出したときにセンドリターンのG-Majorにパッチを呼び出すプログラムチェンジを送る。
G-Major の切り替え以外で曲ごとに必要な機能としては、Black and BlueでMIDI経由のタップテンポを使うのと、Women in loveではプリセットが一つあれば便利かなあ、という程度のことだ。なので、わざわざバンク分けしなくても外部スイッチにでもプログラムチェンジを割り当てておけば事足りる事だ。そもそも、僕の用途ではバンク機能なんかいらないのかもしれない。

今回はPIC16F1716を使った。プログラムメモリーは8kワードで前回のMIDIスイッチャーで使ったPIC16F1827の倍なので足りるだろうと思っていたがやはりいっぱいまで使い切ってしまった。
EEPROMは前回の教訓でオンチップの256バイトではぜんぜん足りないことがわかっていたのでI2C接続の単独のものを用意した。秋月で手に入る一番小さいものでも8kバイトあるので十分な容量だ。
ディスプレイは有機ELの16文字×2行のもの。バックライト付き液晶よりやっぱりきれいだ。

一応最低限の機能は使えるがソフト面ではまだまだ、改善したいところは残っている。問題点を現時点で一度まとめておこう。

〇V50Wモードで、下段からのチャンネル切り替えで上段のLED表示に反映されない。
〇バンク機能にループプリセットとアンプチャンネルも記憶させたい。
〇MIDIメッセージの設定に前作のMIDIスイッチャーで作ったアクション機能を導入したい。
〇MIDI INには現状ではバンク切り替えしか機能がないが、もうちょっと充実させたい。
 ・MIDIメッセージのLearning機能
 ・各ループの直接コントロール
 ・各スイッチの直接コントロール
〇ディスプレイの表示内容をもう少し充実させたい。

プログラムメモリーにもう余裕がないし、別のチップに置き換えができないか検討した上でもう少し充実を図る事としよう。
ちょっと、挙動に矛盾があったり、不細工なところが残っているが一応使えるのでしばらく使ってみることにする。

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